ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『蝋人形館の殺人』

舞台はパリ。
怪しげな店が密集する裏路地には「悪魔・メフィストフェレス」が現れる。
悪魔の正体は、あろうことかパリ警察の顔、アンリ・バンコラン予審判事だ。
彼が現れると、裏路地は緊迫した空気に包まれる。
その服装によって店主や客は対応を考えなくてはならない。


バンコランが普段のスーツならば、非番にふらりと寄っただけの話だ。

ところが、タキシード姿になると、何やら追ってはいるが当面は泳がせているしるしだ。

だが、おなじみの燕尾服にシルクハットと銀の握りのステッキを合わせ、笑みが心なしか少なめ、左腋の下がほんのりふくらんでいようものなら――よろしいかな、ひと騒動ありますぞという知らせであり、店内の一同がその含みを十全に察知する。


語り手はアメリカ人で作家、ジェフ・マール。
友人であるバンコランのお供をする時は、当然「何を着ていくか」が最重要であり、まず訊ねなくてはいけない事柄だ。

実は本作で大活躍するのはバンコランではなく、このマール君である。

「バンコラン、仕事しろ!」
そう言いたくなるが、いやいや、大変な仕事があるのですよ。
読了後、その場で寝転んでシタバタしてしまった。
怖い!
怖かった!!
ラスト数ページの恐ろしさ……!

まさに悪魔メフィストフェレスのような取り引き。
犯人の大胆さ。
バンコランの整った顔立ちに浮かんだ微笑が、いまだに頭から離れない。







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