ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『あめふらし』

なにを寝ぼけてるんだよ、きみはとっくに死んでるんだぜ。

「ウヅマキ商會」を営む橘河はタマシイを掴まえる“あめふらし”だ。
唯一の社員で社長の恋人でもある仲村は、いくつもの身体を乗り換えながら、ずいぶんと長い時間を生きてきたようだ。
これを“空蝉”というらしい。

アルバイトの市村岬(こう)は橘河にタマシイを掴まえられていて逃げ出せない。
なんとも不可解だが、常識人の市村の視点から物語が語られるので読みやすく、感情もスッと心に入ってくる。

短編集になっており、一編一編が謎を秘めて妖しくも面白い。

全編を通して関係しているのが だ。
川だったり、お風呂だったり、雨だったり、海だったり、雨漏りだったり……。

まとわりつくような水に体を包まれているような感じになる。
その水を通して、キラキラと光る 蛇の鱗 が見える。
時間も場所も行ったり来たり。
ゆらりゆらりと水に入って観る景色は不思議と心地よく、美しい。

日本のまとわりつくような湿気の季節に、この本はピッタリだ。




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