ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『水の女 溟き水より ― From the Deep Waters』

オフィーリア

演劇や絵画、小説のなかで、度々出会う哀れな乙女。
恋人に突き放され、父を殺され、心狂わせる少女。
手折った花を抱きながら沈んでゆく、美しい身体。

2008年、渋谷で行われた「ミレイ展」で彼女に出逢う事が叶った。

歌を口ずさむ薄く開けられた唇。
虚ろな瞳。
水に囚われつつある身体。
描きこまれた草花は、失われゆく命と対比されるように鮮やか。
私の脚にまで伸びてきた蔦が絡みついたように、絵の前から動くことができなかった。


ジョン・エヴァレット・ミレイの“オフィーリア”
ophelia


本書には、様々な画家が描いた「オフィーリア」が載っている。
それぞれの捉え方が解るのも魅力の一つだ。
なにしろ、シェイクスピアがオフィーリアの最期を台詞で済ませてしまったのだから、想像する余地は無限にある。

その中には、「シャロットの女」や「ユリシーズとセイレーン」等で有名なジョン・ウィリアム・ウォーターハウスも。
ウォーターハウスの絵は物語性が強く、私の大好きな画家の一人だ。


ウォーターハウスの“オフィーリア”
ophelia-w


他にもマーメイドやサイレン、水に映った自分に恋するナルキッソスとそれを見つめるエコーなどなど……。
魅力的で蠱惑的な絵画が説明抜きで載っている。
巻末に解説があるにはあるが、読まなくても十分に楽しめる。

そう、自分で楽しめばいい!

制作の背景などで想像力を邪魔されることなく、自由に楽しむことができるのだ。
興味を持てば調べればいい。
私はこういうスタイルをとても好ましく思う。

さあ、水の世界へ……!
ただし、努々引きずり込まれませんよう、お気をつけて。




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