ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『流離 吉原裏同心(一)』

お互いを「姉(あね)さま」「幹どの」と呼び合う夫婦、神守幹次郎と汀女。
幼馴染の二人が惹かれあう描写こそないけれど、絆の深さが数ページで伝わってくる。
人物像に厚みがあるのだ。

借財の形同然で汀女は嫁にやらされ、苦しい扱いを受けていた。
二つ年下の幹次郎には、家も家族も生国も全て捨てても助けたい大切な「姉さま」。
二人が逐電するのに時間はかからなかった。

生まれの豊後から東北までと、それこそ日本中旅を続ける二人。
幹次郎は日雇いの肉体労働で、汀女は縫物をして、その日その日を暮していた。

全ては、汀女の夫の妻仇討(めがたきうち)から逃れる為だ。
相対したくないのは汀女の弟が人質のように取られているからである。

逃れて十年。
藩邸もある危険な江戸で、生きる場所を見つけたのが新吉原遊郭だった。
遊里といえど幕府公認の新吉原は絶大な力を持つ。
自警組織の主、四郎兵衛に出会ったのが切っ掛けだ。

そして、与えられた役目が「吉原裏同心」。
汀女が遊女たちと交わす会話や手習いのなかで感じる心の機微から事件を未然に防ぐこと。
無頼の輩が関わっていれば、幹次郎の居合の腕前で早急に対処すること。
二人で一つのお役目、それが「吉原裏同心」なのである。



NHKで放送中のドラマが面白くて読んでみたら、役者陣が原作のイメージにピッタリ!
特に貫地谷しほりちゃんの汀女さんが良いなぁ。
四郎兵衛役の近藤正臣さんも粋で格好いい。


逃避行は豊後(大分)から雪深い北国まで。身を寄せ合う二人。
uradoushin


「流離」というタイトルだけに、逃避行が本作のメイン。
幹どのと汀女さんは、やっと新吉原に腰を落ち着けたところである。
ドラマで放送されたエピソードも入っているけれど、まだまだ吉原に慣れない二人。
薄墨太夫もちょこっとだけ。
ドラマで大夫を演じるのは、野々すみ花さん。
素敵~っ!

原作のシリーズはまだまだ続いているようなので、楽しみ。
時代劇好きはNHKについていくぞー!

それから……、本作が遺作となられた林隆三さん。
心よりご冥福をお祈りします。
「世界ふれあい街歩き」のナレーションも大好きでした。
特に外国の古い街並みなんか深みのある声がとても似合っていて、なんだか新劇が観たくなったりして。
本当にありがとうございました。


【NHK公式サイト】吉原裏同心





| 吉原裏同心シリーズ | 19:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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