ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『エレンディラ』

“魔術師”ガルシア=マルケスの短編集。

「大きな翼のある、ひどく年取った男」
「失われた時の海」
「この世でいちばん美しい水死人」
「愛の彼方の変わることなき死」
「幽霊船の最後の航海」
「奇跡の行商人、善人のブラカマン」


そして中編の表題作「エレンディラ」こと「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の話」の7編である。

ガルシア=マルケスの文章には、たった数行で読むものをトリップさせる魔力がある。
短編においてもその魔力は申し分がない。

数行で、私は雨の音を聞き、海の音を聞き、湿気に包まれる。
バラの香に包まれて、背の高い美しい男を弔い、海の底の家々を見る。
引き込まれる、惹きこまれる、ヒキコマレル……。

まるで悪夢。
なのに、止められず惹き込まれる。
怖い話をもっと聞かせてとせがんでいる子供のような感覚。

「あんたは満足に人も殺せないのね」

エレンディラは、祖母のような人になるのだろうか。
無垢と無情は同じだろうか。
いや、もしかしたら海の底の小さな白い家で、静かに暮らしているのかもしれない。




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