ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『愛はさだめ、さだめは死』

「これでもか!」という程にティプトリーらしさが詰まった12編。

まず、本書のタイトルにもなった「愛はさだめ、さだめは死」に圧倒される。
【原題】"Love Is the Plan the Plan Is Death"
内容はあるエイリアンの種族の愛を描いたものだが、ティプトリーの生涯、特に最期を暗示しているようにさえ思える。

息切れのするような、無駄の無い怒涛の展開で繰り広げられる悲劇的サイバーパンク「接続された女」
恐ろしい連れを伴っての「エイン博士の最後の飛行」

異星での人類の絶望感と行動を描いた「そしてわたしは失われた道をたどり、この場所を見いだした」「最後の午後に」

どれも圧巻の迫力をもって読者に迫ってくる。

なぜかニヤリとさせられる「乙女に映しておぼろげに」と、星新一のショートショートを彷彿とさせるような「アンバージャック」も魅力的だ。

そのなかで、私がのめり込むように読み、読後打ちのめされたように感じたのは「男たちの知らない女」だ。
舞台が作者の思い入れの強いキンタナ・ローの海の上だということも特筆すべきだろう。
『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』

「女はただ生き残ろうとしているだけ。男の作った世界というマシンの隙間で、一人二人とばらばらに生きているの」

「わたしたちをオポッサムと考えてみたらいいのよ、ドン。オポッサムが世界中で生きているのを知ってる?ニューヨーク・シティでさえも」


なんて強烈なセリフだろうと思う。
世界の隙間で生きるオポッサムの一人として、震撼せずにはいられなかった。
そして、物語の中で親子のオポッサムがとった行動にも。




| ジェイムズ・ティプトリーJr. | 15:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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