ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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巨大なカンヴァスと色の洪水! 「オルセー美術館展2014」

行ってきました、「オルセー美術館展 -2014- 」
国立新美術館は展示の巧さにいつも惹きつけられます。

喉が渇いていたところ、チケット売り場の横でオランジーナを配っていたので、ありがたく頂きました。
もともとオランジーナ好きですし、丁度良く冷えていて美味しかったです。
炭酸といえばオランジーナ!
フランス生まれのオランジーナを飲んでフランス絵画を観ましょうー!

……はいっ、無料で頂いた御恩はお返しできたかと思います。
本題と参りましょう。

今回の目玉はマネの「笛を吹く少年」
Orsay-2014

幾度も見かけた印刷上の少年が今、目の前に!
人物を浮き立たせるような立体感を生み出す背景の色は、日本画からの影響なんだとか。
少年の太い骨格や、笛を当てる唇の感触まで伝わってくるようでした。



飲み込まれるような大きなカンヴァスが多い中、ジャン=フランソワ・ミレーの「晩鐘」はじっくり向かい合いたい大きさ。
見ている側も敬虔な気持ちにさせられる、素晴らしい作品でした。
キリスト教徒ではありませんが、思わず頭を垂れたくなります。
解説には「死者に対する祈り」とありましたが、日々の糧への感謝など色々な想いは世界共通なのではないかと思います。

Millet-Angelus



こちらも有名なカバネルの「ヴィーナスの誕生」
まさに透き通るような肌!
ホクロひとつない姿は官能的で神々しくて、やっぱり現実離れしていて。
良くも悪くも「理想の姿」。
完璧すぎる裸体よりは、少し疲れたお姉さんの方に魅力を感じます。
でも、神様ですしね。完璧でないと!

Cabanel-Venus



豊かな色彩と、見上げる様に大きなカンヴァスの多いことが印象的でした。
「雪」をテーマにした作品群などは、「白」のなかにも色々な表現がされており、興味深く見入りました。
私が行った時間帯が割と良かったようで、遠くから、近くから、しっかり鑑賞して参りました。
いやー、満足!!

満足といえばお土産コーナーも充実していました。
ポストカードなどはお土産の王道ですが、一緒にフレームを売っているのが良い!
思わす数点購入してしまいました。
ポストカードだけでなく、大きさに種類があったのも嬉しいところ。

今回初めて見たミニ図録も大ヒット!
図録って買うけど嵩張って困っていたのです。重たいし、お値段も高い。
しかし、ミニ図録は男性の手のひら程の大きさ。
好みが分かれるところでしょうが、これからも続けていただきたいと思いました。

家族にはアンリ・シャルパンティエのフィナンシェを買って帰りました。
ひとつひとつが小さいけれど、美味しかったー!
箱が素敵で、豆本を入れるのに丁度良さそう。うふふ。

ちょっと涼しくなってきましたし、芸術の秋、いかがですか?

【公式サイト】オルセー美術館展 印象派の誕生―描くことの自由―


| 美術展 | 11:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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圧巻! 「貴婦人と一角獣展」

国立新美術館は好きな場所の一つだ。
地下鉄から入れば雨にもほとんど濡れないし、館内の立体的な構造が面白く、また開放的で気持ちが良い。
椅子が多く、気兼ねなく座って休める場所があるのも重要だ。
軽食は各階に用意されており、企画展示に合わせた凝ったメニューを楽しむレストランもある。

展示方法も毎回素晴らしく、美術品を多角的に観ることが出来るのだ。

今回は「ガンダムUC(ユニコーン)」でタピスリーが登場していることから、池田秀一さんと池田昌子さんによる華麗な音声ガイド(500円)も用意されていた。

そちらはファンの方にお任せして、私は トレイシー・シュヴァリエ著『貴婦人と一角獣』 の世界にトリップ!


Lady&unicorn


凄い……!
思わず息を呑む、とはこのこと。

「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」「我が唯一の望み」が一堂に会する様はまさに圧巻。
それも、ぐるりと見渡せる円形の配置。
よく問題にされる順番も気にせず、好きなように鑑賞できるスタイルは本当に素晴らしい。
少し離れて、角度を変えて、ゆっくりタピスリーと向き合うことが出来た。
思った以上に大きく、そして細部まで織り込まれた色糸の一本一本まで美しく、生き生きとした植物の息吹が溢れてくるよう。

「貴婦人」の顔もそれぞれ別人のように思えた。
一番若くまだあどけなさが残る「聴覚」の貴婦人。
かくありたい、と思わせる堂々とした「触覚」の貴婦人。
そして、順番をめぐる議論の的になる「我が唯一の望み」の貴婦人には、何かをやり遂げた充足感のようなものを感じた。

『貴婦人と一角獣』 を読み終えた後では、頬に手を当てるウサギにも目がいく。

展示では織り込まれた動物や植物を細部まで見られるようにする工夫や、植物の名前も一覧になっていて、それを見てはまたタピスリーの前に戻る、といった具合だ。
私が行った日は空いていて、スムースに移動ができたのもラッキーだった。

思う存分堪能出来て充実感たっぷり!
会場を出る私は、もしかしたら「我が唯一の望み」の貴婦人のような、または嬉しいことがあったような「味覚」の貴婦人のような表情をしていたのではないかと思う。

しかし、隣にはもっと若やいだ、夢中になっている表情を浮かべた人がいた。
……母が「聴覚」の貴婦人の様になっている……ッ!!

なんとなく誘ってみたのだが「こんなに凄いとは思わなかった」らしいのである。
タピスリー?織った布でしょ。それなら着物に勝るものなしよ大島紬y……うわあーーーっ!!なんて綺麗なの!細かいの!大きいの!凄い凄い!!と感激したらしい。
そして、図録を買った後舞い戻って来るや「買ったげる!」と私が購入を迷っていた紺色のハンカチを、レジのお姉さんに渡していた。

美のエネルギーを浴びた人間は、若くなる。
「他人を幸福にするのは、香水をふりかけるようなものだ。ふりかけるとき、自分にも数滴はかかる」というユダヤの格言を思い出した。

帰りに食べたパスタとコーヒーも、また一段と美味しく感じられた。


| 美術展 | 21:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ダーガーの頭ン中 「ヘンリー・ダーガー展」

ヘンリー・ダーガーという人物をご存知だろうか。
そして、彼の住んでいたもう一つの世界を。

風薫る5月。
ちょうど昨年の今頃、そのもう一つの世界「非現実の王国」の一部が原宿に現れた。
一見かわいらしく思えるが、ご存じなかった方は画像検索をかけていただくと手っ取り早い。
そこはお花畑を銃を持って駆け回る少女達の居る世界。
戦争をしている彼女らは、時折敵に捕まり血みどろの拷問を受ける。
が、決して死ぬことはない。
何度でも甦り、戦い続けるのだ。

その名も「ヴィヴィアン・ガールズ」
ソックリの顔とペニスをもつ両性具有(アンドロギュヌス)の7姉妹である。
なぜ、少女にペニスがあるかは分からない。
諸説あるが、本人が亡くなっているのだからどうしようもない。
とにかくダーガーは彼女らの味方である。
残虐な拷問を与えながらも、物語の世界では徹底して味方だ。
サディスティックな快楽にふけっていたのかもしれない。
あるいは、泣きながら描いていたのかもしれない。
今となっては確かめようもないが。


darger


ダーガーの部屋を再現したコーナーや遺品の展示もあり、なかなかの見応えだった。
迷路のような展示通路をぐるぐる歩き回っていると、まるで自分も「非現実の王国」に迷い込んだような気さえしてクラクラした。
原宿という場所柄、わざとハズシたファッションの人々が黙々と絵に見入っている様もそれに拍車をかけていたのかもしれない。


帰り道、静かな喫茶店に入りコーヒーをすすりながら思った。
今ヘンリー・ダーガーが生きていたら、この作品群は残らなかったのではないか、と。
きっと戦う美少女達の溢れるジャパニメーションに夢中になっていたのではないか、と。

だからどうということはない。
しかし、ダーガーの残した作品から溢れる「愛情」に胸が苦しくなったのも事実だ。
この気持ちがなんなのか、分かりそうで分からない。

彼は最後、自分の作り上げた「王国」を全部残して施設に入り、亡くなった。
どんな気持ちで「王国」を出たのか。
ちびた鉛筆や、雑誌を括る為にとってあったと思われる紐。
「王国」に関する全ての物に「愛情」を感じずにはいられなかった。

そんな部屋を出るとき、ダーガーは死んだのかもしれない。
知る由もないが。




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