ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『鏡のなかの鏡―迷宮』

「許して。ぼくはこれより大きな声では喋れない」
迷宮を彷徨うホル。

父でもある師匠のもとから、翼をつけて飛び立とうとする青年。

最初の話が次の話に、最後の話が最初の話に、少しずつリンクしながら全く別のストーリーが続いていきます。
ホルに再び出会うまで……。

鏡というのは不思議な物で、角度によって同じものが少しずつずれながら対象を映し出します。
そんな迷宮に、ホルは住んでいるのかもしれません。

イマジネーションをかきたてられる様な不思議な挿絵は、著者ミヒャエル・エンデの父であるエドガー・エンデによるもの。
一編、一編がとても魅力的。
まるで荒涼とした鏡の迷宮に吸い込まれたような連作短編集です。




| ミヒャエル・エンデ | 05:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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『モモ ― 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語』

「時計というのはね、人間ひとりひとりの胸の中にあるものを、きわめて不完全ながらもまねて象ったものなのだ。光を見るためには目があり、音を聞くためには耳があるのと同じに、人間には時間を感じとるために心というものがある。そして、もしその心が時間を感じとらないようなときには、その時間はないも同じだ。」


エンデ作品のなかでも、『はてしない物語』と並んで大好きなのが、この『モモ』。
児童書ですが、大人こそ読むべき本なのではないでしょうか。
実際、小学生の時に読んだときよりも、今の方がずっと深く胸に迫ってきます。
モモの「相手の話をきくこと」がどんなにどんなに凄いことなのかも、今やっとわかったような……やっと本当に『モモ』が読めるようになってきたなぁと思うのです。


エンデは、「人間には余暇が必要である」ということだけをこの本で訴えているわけではありません。

時間とは「生命」であるということ。

「相手の話をきく」ことが出来るモモは、星の声を聴き、時間の花をその目で見て、ついには宇宙の音楽を歌えるようにすらなります。
常人はとてもモモにはなれないけれど、「モモのかけら」ぐらいは持っていると思うのです。
だからこそ、マイスター・ホラの元で体験する出来事に、思わず読む手が止まるのではないでしょうか。


常に「時給制」で動いてしまいがちな現代人。
でも、心に時間泥棒でなく、モモを育てることが出来るはず。
時間を司るマイスター・ホラも、30分だけ先の未来がわかるカメのカシオペイアも、モモを導いてくれる存在は、ちゃんと居るのですから……。

読み終わったあと心が健やかになる。私にとって『モモ』はそんな本です。






読み解く鍵のひとつとして、こちらもどうぞ。
エンデは、ルドルフ・シュタイナーの思想を強く受けていることでも知られています。



| ミヒャエル・エンデ | 15:10 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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