ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『痩せゆく男』

そこに「赦し」はないのかい?

読んでいる間、ずっとそう思っていた。
「理解し合う」とか、せめて「分かり合おうとする努力」は全くないのだろうか、と。

リチャード・バックマン名義で出版された本作だが、キング作品にみられる特徴が随所にみられ、どうも本当に正体を隠したかったようには思えない。

そして、読後感が非常に悪い。
ここまで悪い本もなかなかない。
読み終わった後、本を投げた方(物理的に)もおられるのではないだろうか。
それぐらい悪い。


ある日、アメリカのセレブが集まる街の中。
住人の一人である男がジプシーの老女を車ではねて死なせてしまった。
男は、知り合いの多い街でのこと、自身が弁護士であること、そして「相手がジプシー」であることで収監されることもなく普通の生活に戻ってくる。

だが、男は裁かれることになる。
死ぬまで体重が減っていく、というジプシーの呪いで。

男は贖罪の気持ちを持っているし、馴れ合いで済まされた裁判に後ろめたい思いを抱いてもいる。
しかし、誰も理解しない。呪いのことも、男の心の傷のことも。
相容れない者を除外しようとする社会が浮き彫りになる。
そんな男の救いになったのが、また社会の暗部に位置する人間であったという皮肉。

男は外見だけでなく、内面も変わっていく。
もう元の生活には戻れない。
上っ面だけの豪華さに惑わされた世界には。

「ジプシーの呪い」も凄まじいが、男がかけた「白人の呪い」も凄まじい。
やられたらやりかえす。

大統領が聖書に手を置いて宣誓する国のはずだが「聖書の中身」の精神が活きているとは思えない。
なんというか、戦争の縮図をみたような気がする。
やられたらやりかえす。
その繰り返し。それも最早どちらが先か分からない。


と、まとめてはみたものの読後感の悪さに全てもっていかれる。
それに他の方の訳で読みたかったという思いも。
ちょこちょこ引っかかる部分があって気になった。




| スティーヴン・キング | 21:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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『ミザリー』

怖い…!
でも、読む手が止まらない…!

作中作、ポール・シェルダン著『ミザリー』のナンバーワンにしてワーストワンの読者。
それが、アニー・ウィルクス。
おそろしく頑強で、それ以上に異常な女。

映画でアニーを怪演したキャシー・ベイツも怖かったけれど、原作は、もっと遥かに恐ろしい。
私の想像力のなかで、キャシー・ベイツをベースに、アニー・ウィルクスは醜悪になっていく。
そう…、生き生きと …。

閉鎖された空間での緊迫した恐怖はキングお得意のものだけれど、やっぱり凄い。
どこまで怖くなるのか。
どこまで最悪の状態になるのか。

読者もまた、本という恐怖の空間に閉じ込められるのだ。
唯一つ「自分は安全である」ことをよすがに。




こっちの装丁の方が好み。


カバーを外すと…。


キャシー・ベイツが本作でアカデミー賞を受賞!


| スティーヴン・キング | 23:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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『シャイニング』

読書中、何度も後ろを振り返ってしまいました。
じわりじわりと迫ってくる様な怖さ。
愛情を描く反面、だんだんと狂ってくる日常を描く筆力に圧倒されます。
読む手が止められない!
凍るような描写の後の、光射す終り方が好きです。
それにしてもこの坊や、しっかりしてるなぁ。

スタンリー・キューブリック監督によって映画化もされました。
映画の方の感想は「…なんだかなぁ…」。

次は『IT』を読みたいな。
『キャリー』もいいけど、表紙が怖い…・゜・(ノД`)・゜・



| スティーヴン・キング | 18:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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