ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『悪魔の辞典』

ハイボールを飲みながら読むと楽しい。
ビールではちと弱い。
日本酒は少し違う気がする。

なんだか「おつまみ」的な一冊なのだ。
塩っ辛いミックスナッツ。

辞典のなかから少し引用しようかと思ったけれど、やめた。
選べなかった。
美味しいナッツのなかから一つ二つなんて勿体ない。

私のお皿からじゃなくて、直接食べて欲しい。
好きな時に、好きなだけ。

冒頭でハイボールが合うと書いたけれど、ラム酒もいいかもしれない。
カクテルならキューバリバーやダイキリがオススメ。

だって、アンブローズ・ビアスだもの。






| 海外 | 19:18 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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『バビロンの架空園』

植物に纏わるエッセイを集めたアンソロジー。

まずは 「フローラ逍遥」 と題された25の花に寄せる心の散歩だ。

プリニウスの『博物誌』からの引用も多く面白い。
まず自分で読むことはないであろう本だから、お得感もある。

琥珀については「ポプラや鳥の涙がメタモルフォーシス(変身)したもの」なんて素敵!
鉱石みたいで、植物で、化石。
虫入り琥珀はタイムカプセルみたいだし、古代ギリシャでは「太陽の石」だった。
改めて琥珀の魅力を再認識。

書名にもなっている 「バビロンの架空園」 は古代バビロニアの屋上庭園だ。
絶世の美女、セミラミス女王の伝説と相まって甘い香りが漂ってきそうな気がする。
乾燥した大地にそびえる巨大庭園は噴水が水をたたえ、鳥が舞い、色とりどりの花が咲く……。

そんな想像を巡らせていると、お次は 『とりかへばや物語』とマルキ・ド・サド の世界に突入する。
編纂者さん分かってるゥ!
そこにシビれる!あこがれるゥ!

しっかり澁澤ワールドに浸かって読了できた。
やっぱり、こうじゃないとね!






| 澁澤龍彦 | 01:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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『アメリカ銃の謎』 (創元推理文庫 新訳版)

容疑者、二万人以上。

なんて書くと、なんだか映画の煽りみたい。
CMでガシャガシャガシャみたいな音と共に、ちょっと渋い声で聞こえてきそう。
でも、当然二万人以上なんてあるはずないわけで。
だって「登場人物・全員容疑者」とかいうキャッチコピーには「当たり前だろ」とツッコミたくなる。
いきなり知らないオジサンが出て来て「仕方がなかったんだ!」とか喚き始めたら推理モノが根底からひっくり返る。

閑話休題。

今回はロデオ一座の公演中、目撃者二万人のなかでの射殺事件である。
当事者としては「全員容疑者」なのだから、一人として外に出すわけにはいかない。
クイーン警視以下腹心の部下、所轄警察の皆さんには特別手当を差し上げて欲しい。

読書中の感覚としては、パズルのピースを拾ってはパチパチ合わせていく感じ。
このピースは「あの作品」のモチーフね~、なんて思ったりして。

パチリ、パチリ、ピースをはめていくのが楽しいけれど、全体がぼーっとして分からない。
そこでエラリー君が見方を教えてくれる。

「ここにピントを合わせるんだよ。いいかい。ほら……」

あっ!そっか、そういう事か!

ラストはディクスン・カーの「フェル博士」を思わせるようでじんわり。
西部の味付けは、ちょっと塩辛い。







| エラリィ・クイーン | 17:28 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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『いつもポケットにショパン』

魅力的な登場人物。
光るようなピアノの音色。
麻子が通う音楽高校の生き生きとした描写。
人間として、表現者としての成長の過程。

その全てに魅了されているうちに、一気に読了!

麻子の幼馴染の「きしんちゃん」こと季晋(としくに)君が、もうキュンキュンさせてくれるのである。
私はあまり少女マンガで「ムネキュン」ってのがないのだが、きしんちゃんにはやられたっ!
麻子ときしんちゃんがデートしてることろ、もっと見たいよー!

少女マンガの名作には「手の表情」に依るところが大きい。
きしんちゃんの手はまさにそうだ。

手が語る。
悩みや励まし、麻子への複雑な恋心。
ピアノを弾くきしんちゃんの手はほとんど描かれないのに、気持ちを豊かに奏でる。

ストーリーにも無駄がなく、名シーン、名セリフのオンパレード。
そして何よりも、音楽に対するこの上ない愛情が感じられるのだ。


私も「音楽の力」を鮮烈に感じたことがある。
いや、正確に言うと「初めて音楽を聴いた」と感じたことがある。

それは、宮本亜門演出のミュージカル「キャンディード」で佐渡裕がタクトを振った瞬間だった。

あれが私にとっての「麻子が泣けちゃった」「きしんちゃんの弾くショパンのワルツ」だったのかもしれない。






| マンガ | 06:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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『奇譚を売る店』

――また買ってしまった。

主人公の同じつぶやきから始まる短編集。
つぶやくのは古書店を出たあたり。
なんともいえない、ため息と共に……。

主人公が“買ってしまった”のは以下の6冊。
古書店らしいのは本ではなく、パンフレットや資料集も含まれるところだ。


『帝都脳病院入院案内』
『這い寄る影』
『こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻』
『青髭城殺人事件 映画化関係綴』
『時の劇場・前後篇』
『奇譚を売る店』



古本の面白いところは「想いが乗っているかどうか」だと思う。
全国チェーンで売っている古本、図書館の本、書店に並ぶ新しい本。
それらとは全く違う。
以前の持ち主の「想い」は勿論、店主の「想い」も乗っている。
その「想い」に振り回される主人公の気持ちが良く分かる。

だが、私ならこういう行動はとらないな~……。
そういう話しばかりだった。
ちょっと残念。


私も少し不思議な、というと大げさかもしれないが「買ってしまった」本に振り回された事がある。

それは1ページごとに花のイラストと簡単な英語が添えられた美しい本だった。
書き込みがあったけれど、古書店ではままあること。
それを面白がる人もいるくらいだ。

でも、その本は面白がってはいられなかった。
「乗ってる想い」が強すぎたのだ。
イギリスで出版されたその本は、どうやら誰かへのプレゼントとして贈られ、その誰かも何年も大切にしてきたような……そんな感じだった。
クセの強い筆記体で書かれ、それ以上はほぼ判読不明。

……いや、不明で良かったのだ。
私が持っていて良い本ではなかったのだから。
据わりが悪い。
その一言に尽きる本だった。

贈られた「誰か」は捨てるには忍びなくて捨てずに手放したのかもしれない。
手放したのは「誰か」が亡くなって整理させたからかもしれない。

きっと、私の役目は捨てること。
3日程手元に置いて資源回収に出した。

私にとっては、あまりありがたい出会いではなかったけれど、嬉しい出会いも沢山ある。
だからやっぱり「買ってしまう」のだ。






| ファンタジー・幻想 | 06:37 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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