ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『クリスマス・キャロル』

ケチ、貪欲、守銭奴。
スクルージは悪口には事欠かない男だ。

そんな老人の前に、かつての相棒マーレイの幽霊が現れた。
彼は生前、スクルージと同類の人間だった。
冷酷、無慈悲、エゴイスト。
良き相棒だったかは分からないが、幽霊になって忠告しに来てくれる程度には友情があったようだ。
マーレイの予言どおり「過去」「現在」「未来」の幽霊と出会うスクルージ。

そしてだんだんと、自分でも気づかずにいた、目を逸らしていた寂しさに気づくことになる……。


村岡花子さんの訳文は、ふわっとしている。
冷たいスクルージの内面をチャーミングに映し出す。

人間はいつからだって生きなおせる。
過去の分だって、きっと。

冷めたスープは温めなおせばいい。
パサパサになったパンはフレンチトーストにしてはいかが?
もしかしたら、「味わい」が増しているかもしれない。

Merry Christmas!
Happy Holiday!
何でもない日おめでとう!






| ファンタジー・幻想 | 17:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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平成最後と新元号は「アンティークハンカチーフ」と一緒に

そして未来は、いずれにしろ過去にまさる。
誰がなんといおうと、世界は日に日に良くなりまさりつつあるのだ。
                ロバート・A・ハインライン 『夏への扉』より


ほぼ日手帳ユーザーよ、来年の手帳作りは進んでいるかー!?
買いたいものは買えたかー!?
そして……

転売目的の輩は滅せよ!!

ミナとか!アンリさんのとか!!
呪われるがいい。


さて、今回は私が買ってみた 「TOOLS&TOYS」 のレビューです。

【ほぼ日のインデックスシール】
これは良い!
やっぱり材質のユポがいいんでしょうね。
今までマスキングテープで作ったりもしていましたが、だんぜん使いやすいです。
程よくペラペラ、程よく丈夫。
「月間カレンダー用」は「5年手帳」に貼りました。
5年手帳が見やすくなった。わーい。


【ほぼ日のクリアファイル】
良い!
当たり前だけれど、サイズがぴったり。
絶妙な大きさなのですよ。
ほぼ日タグが付いてるポケットに「ちゃんと」収まってくれるから気持ちいい。
少し厚めの物も大丈夫。凄い。


【ほぼ日のカードアルバム】
使いにくい。
カードがきっちり入るのかと思ったら、ポケットが浅い。
その為、中身が落ちやすくてズレやすい。
頻繁に出し入れしたい方にはいいのかなあ。
「スタバカードを入れておきたい」と思って買ったのですけれど、パラパラ見てるとズレて居心地が悪い。
私にはどうも合いませんでした。


【ほぼ日のメモ帳セット オリジナル用】
必須。ないと困る!
一日一ページに書ききれない時に必要。
本体よりひとまわり小さいのが良い!
ミシン線がついているから、マスキングテープだけで増ページが可能。
そして手帳が厚くなるのである。
楽しいのである。
新しいスタンプやペンの試し書きに使ったりも。


【リベットバンド laccio】
かわいい。便利。
手帳を留めたり、文庫本を留めたり。
ヌメ革ちゃんなので成長も楽しみです。


【くまのおすわり文鎮】
商品じゃなくて「おまけ」だけれど、送料分で買ったと仮定して。
ひたすらかわいい。ちゃんと重しになってくれるし。
去年のサイコロ、3日でなくしたもん。
くまはどこにもいかない。
ただ静かに、ちょっと重たく座っている。
それがいい。


今年もあと一か月。
特に来年、再来年と、これからはイベントが盛りだくさん。
未来を楽しむ準備をしなくちゃね!


この記事が少しでもお役に立てましたら幸いです。





| 「ほぼ日手帳」アレコレ | 18:50 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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『カナリア殺人事件』

こんなに読みやすかったっけ?
前作 『ベンスン殺人事件』 と比べるとテンポがよく、すぐ読み終えてしまった。

事件は、まあ「よくある話」だ。
元女優、現在はカナリアの愛称で呼ばれるマーガレット・オウデルは“ブルジョワジーたち”の恋人。
そう、特定の恋人じゃなくて、本当に好きになったらいけない部類の恋人。
しかし、それを分からず、のめり込む男は古今東西いるもので……。

今回は四人の“恋人”に絞られた。
特に一人はかなり重症。別の意味で警察案件。

一人、また一人と調査が進む。

そんななか、ヴァンスの友人のマーカム検事の肩を何度も叩きたくなった。
「あのさ、調べなくていいの?」って。

全体的に雑だなあ、という印象が否めない。
一番の天才は短時間で密室から脱出した男だと思う。
手練れだとしても瞬時の思いつきと犯行の鮮やかさが凄い。


とにかくねえ、ヴァンス。
次はもうちょっと納得のいく方法で犯人をつきとめて頂戴ね。
あなたの趣味じゃなくてね。

まったくもう!






| S.S.ヴァン・ダイン | 21:04 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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『パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。』

【ほぼ日刊イトイ新聞】 で連載中の、とのまりこさんのエッセイを再編集して書籍化したもの。
書き下ろしや加筆がほとんどなくて残念。

ちょうどいい薄さのこの本は、フランス旅行中に読むと楽しそう。
飛行機の中やホテルでパラパラ見て「明日はスーパーでチーズ買ってみようかな」とか。
「沢山売ってるこの食器はこうやって使うのかあ。よし、お土産にしよう」とか。

行きたい気持ちはあれど、なかなか旅行計画の立てられない私はこう。

……チュイルリー公園に移動遊園地が来るですって!?
ああ、かつてあったチュイルリー宮殿といえばフランス革命時にルイ16世一家が幽閉されていた場所……。
きっとこの庭園をマリー・アントワネットも見たのだわ。
そして、ここからあのヴァレンヌ逃亡事件が……!!

と、『ベルサイユのばら』で得た知識に想いを馳せるのです。
ちょっと馳せすぎたところで、ヨークシャー・テリアのバブーくんの写真を見て戻ってくるのでした。
写真も沢山でカワイイモノ好きにはたまりません。

それから、マスク問題について常々思っていたことを改めて。
海外でマスクが浸透しないのは「ほっぺをあわせてチュ、チュ」の挨拶があるからかな、と。
これはもう文化というか、習慣の違いだから仕方ないよね。
でもなあ、中世の「ペストマスク」なんてもっと異形に映るし、マスクがあればスペイン風邪の被害も幾ばくか少なくて済んだのではでは……。
日本のマスク文化が、もう少し衛生面で重要な意味を持ってる事が周知されると良いなあと思います。

海外旅行は何度行っても発見の連続。
あーあ、行きたいなあ。

「お財布と 通帳眺め 寒さ増し」

お粗末!






| エトセトラ | 02:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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『新トロイア物語』

ウェルギリウスの叙事詩『アイネイアス』を現代日本人の目線で書いたらどうなるか……、という意欲作。
あくまでも現実的にパリスとヘレンの駆け落ちやトロイの木馬が描かれる。
それが実に生き生きとしていて面白い。

とはいえ、神々とは切っても切り離せない時代の話。
ギリシャ神話は最低限、頭に入れておいた方がいいだろう。
(オススメは同著者の 『私のギリシャ神話』『ギリシア神話を知っていますか』 の二冊)


物語の主人公は、トロイア王家の血を引く青年アイネイアス。
彼がトロイア戦争敗北を喫した後、故国再建を求めてローマの礎となったラウィニウム建国までが描かれる。
叙事詩らしく、なかなか壮大だが馴染み深い工夫が随所に施され一気に読める。
登場人物の心の機微も繊細で興味深い。

アイネイアスには美しいプラチナブロンドから「銀」という渾名がある。
土地の名前や人物が多数登場するが、こうした渾名が付されていることで特徴や役割と共に覚えやすい。
きっと昔の人もそうだったのだろうなぁ、とも思う。

物語の核は、パリスによるヘレネ略奪に際しての「テュンダレオスの掟」を建前としたギリシアによる「錫」を求めた戦争である。
「テュンダレオスの掟」とは絶世の美女・ヘレネが結婚する時に求婚者全員が交した約束事だ。
ざっくりいうと「抜け駆けした野郎は全員でフルボッコしますよ」というもの。
錫の産地を欲しているギリシア側にとって、ヘレネ略奪事件は「国ごとフルボッコ」する格好の口実になったのである。

敵方の大将であるアガメムノンが、また狡猾で憎々しい。
こうして読者が思いっきり憎める相手と、「建前」という船に「本音」の帆を孕んだ大船団がトロイアへ攻め寄せた。

そこからは有名なエピソードのオンパレード。
なかでもヘクトルとアキレウスの一騎打ちは印象深い。

勇ましいヘクトル、人情に厚いアキレウス。
軽薄なイメージのあるパリスでさえ自身の心の揺れに悩む描写があり、アイネイアスとの友情にも納得させられるものがある。

歌舞伎の演目なんかにしたら凄い見せ場になりそう。
……と、実はここに「面白さの秘密」がある。

登場人物が日本の武士なのである。
これは著者が「あとがき」ではっきりと述べている。
神々が登場する英雄譚の、遥か彼方の時間を超える物語は想像するのも難しい。
それならば考え方や価値観、それらを資料を基に許す限り「日本の武将」として描くしかない。
だから、読んでいて面白いのだ。
登場人物の気持ちが理解できる。
生け贄の習慣などに共感できるかどうかはともかく、解釈が可能でなければ物語は成立しない。読み手はついていけない。
この部分の肉付けが見事だ。

後半では、カルタゴのエピソードもじっくり描かれていて面白い。

なんとなく知ってたけど、ちょっと調べてみようかな。
そんな知的好奇心も刺激してくれる、とても贅沢な一冊だ。






【蛇足】
「プリキュア」っていう人がいそうでいなかった。
フェニキアとかさ、似てるじゃん。
実際はいたかも……なんてね。

| 阿刀田高 | 16:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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